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技術ニュース

テレビ朝日新本社音響諸室の設計と施工


技術部  中村  智幸

工事部  鈴木  純也


1.  はじめに


  2003年12月の地上波デジタル放送の開始に先駆け、今をときめく!?六本木ヒルズにテレビ朝日新社屋が建設され、 2003年9月29日に本放送が開始されました。


  弊社はテレビ朝日新社屋の計画において、施主及び設計者に対して室内音響設計に関る事柄についてお手伝いをする機会を得ました。 (騒音・振動を防ぐ検討については(株)竹中工務店の技術研究所が行っています。)
  更に、施工段階では音響内装工事業者として、施工図の作成、音響諸室の内装施工、を担当しました。
  竣工後においては、重要ないくつかの音響諸室の音場調整を行い、テレビ朝日音声担当の方々の音響へのこだわりを満足させられるよう、 吸音層のチューニングを行いました。


  テレビ局には音響に関る部屋はとても沢山ありますので、ここでは、音響上重要な室、 弊社が施工に関った室について、ピックアップして御紹介します。


テレビ朝日外観
写真-1 テレビ朝日外観


【建築概要】
設計・監理 六本木六丁目地区再開発組合
株式会社 槇総合計画事務所
株式会社 構造設計集団
株式会社 総合設備計画
施工株式会社 竹中工務店
工期2000年8月1日〜2003年3月31日
階数地下3階 地上8階 塔屋1階
構造鉄骨造および鉄骨鉄筋コンクリート、鉄筋コンクリート

NOE担当エリア
TVスタジオ(第4、5スタジオ、副調整室を含む)
BS・CSスタジオ(61〜65スタジオ)
編集室エリア(各編集室、音声編集室)
プレゼンテーションルーム

2.  TVスタジオ


  1. 概要

    ■壁構成


      テレビ朝日新社屋にはさまざまな形態のスタジオが作られましたが、その中でも、第1〜4スタジオに関しては、 槙総合計画事務所(以下 槙事務所)の基本設計の段階から特に遮音を重視しており、スタジオを外部の騒音から守るために建物中央にレイアウトし、 固定遮音壁として他では類を見ない500mmの厚さのコンクリート壁が設けてあります。更にその内側に石膏ボード(15mm×3層)の浮遮音壁を設けています。 (図面1 第4スタジオ断面詳細図 参照)


    第4スタジオ断面詳細図
    図面-1 第4スタジオ断面詳細図


      仕上げの壁は基本的にホリゾントと呼ばれる壁とそれ以外の壁で構成されます。
      ホリゾントとは照明で演出する白っぽい平滑な(細かく見ると小さなデコボコがありますが・・・ 各テレビ局によってこだわりのデコボコなのですが・・・)壁です。
      ホリゾント以外の壁は室内の余計な反射音を軽減させる為に、遮音壁から250mmの空気層を持たせた吸音仕上げとしています。


    ■床構成


      TVスタジオでは周辺室の音や振動、敷地近傍の地下鉄振動の影響を出来るだけ受けないよう、 完全浮構造(床・壁・天井の二次遮音層が全て防振支持)となっています。
      浮床構造に着目すると、一般的にはTVスタジオではGW(グラスウール)浮き床が採用されますが、テレビ朝では入念な事前検討により、 第1〜4スタジオでは防振性能が高い防振ゴム浮床が採用されています。


    第4スタジオ浮き床詳細図
    図面-2 第4スタジオ浮き床詳細図


    第5スタジオ浮き床詳細図
    図面-3 第5スタジオ浮き床詳細図


    ■床のカメラテスト


      テレビスタジオで肝要なのは平滑な床と平滑なホリゾント壁です。
      今回、弊社ではホリゾント壁の施工は無かったので、床の施工状況を御紹介します。


      TVカメラがぶれずにスムーズに移動出来る様、床は一般建築の土間とは比べ物にならない位、 平滑でなければなりません。
      施工中にはテレビ局のカメラ担当の方に検査して頂きます。


      ちょうど弊社の第4スタジオの床が施工されていたのは真夏でした。
      検査の日にはテレビ朝日の社員の方々が竹中工務店の担当者及び職方と一緒になって、真夏の暑い最中、タオルを首にかけ、 床に這いつくばりながら検査をしている姿をみて、「良いスタジオをみんなで一緒になって作っていこう」という意気込みを感じました。


    スタジオ床検査
    写真-2 スタジオ床検査


  2. 第1、2スタジオ

    ■立面傾斜ホリゾント


      このスタジオの壁面の3面殆どをホリゾント壁が占めています。
      また、床も前述の通り平滑な床となっています。
      つまり、反射性の壁3面と床1面に囲まれたスタジオはフラッターエコーの巣となるわけです。


      そこで、以前はホリゾント壁の1面を平面的に角度を持たせ平行面が生じないように計画されていました。
      7年程前に完成したフジテレビの新社屋では日本で初めて立面的に傾斜したホリゾントが採用されました。
      その後、テレビ東京系列の天王洲スタジオでも採用され、ミュージシャンにも好評を得ています。


      これらの実績を踏まえ、テレビ朝日でもスタジオホリゾント形状について検討を行い、 平面傾斜よりも立面傾斜の方が音響上好ましいと判断され、立面傾斜ホリゾントが採用されました。
      その検討の例を図1〜4に示します。


    ホリゾント平面傾斜角5°(設計仕様)
    図-1 ホリゾント平面傾斜角5°(設計仕様)
    [音源S3 (h=1.2m)、受音R3 (h=1.2m)]
    [音源S3 (h=1.2m)受音R3 (h=1.2m)]
    ホリゾント立体的に3°傾斜
    図-2 ホリゾント立体的に3°傾斜
    [音源S3 (h=1.2m)、受音R3 (h=1.2m)]
    [音源S3 (h=1.2m)受音R3 (h=1.2m)]
    ホリゾント平面傾斜角5°(設計仕様)
    図-3 ホリゾント平面傾斜角5°(設計仕様)
    [音源S3 (h=1.2m)、受音R4 (h=4.0m)]
    [音源S3 (h=1.2m)受音R4 (h=4.0m)]
    ホリゾント立体的に3°傾斜
    図-4 ホリゾント立体的に3°傾斜
    [音源S3 (h=1.2m)、受音R4 (h=4.0m)]
    [音源S3 (h=1.2m)受音R4 (h=4.0m)]

      左側がコンピュータシミュレーションによるエコータイムパターンで、右側が音源・受音点の位置関係です。
      図1、2は音源・受音位置が同じで、スタジオ中央でミュージシャンが自分の生音を聞くというシチュエーションです。
      図3、4はスタジオ中央でミュージシャンが出した生音をアンビニエンス用のマイクで収録しているというシチュエーションです。

      原設計の平面傾斜に比べ、立面傾斜の方が反射音の収束が早いことが分かります。
      また、シミュレーションから得られたインパルス応答にアナウンスや音楽を畳み込み、テレビ朝日音声の方に試聴して頂きました。
      聴感上も立面傾斜の方が自然な響きであると判断されました。


    ■ローホリゾント内の吸音


      ホリゾントに照明を当てる際、ライトをホリゾントの足元にも設置しますが、 大きなスタジオではホリゾント足元をスタジオの床のレベルよりも掘り下げてその中に設置します。
      この部分をローホリゾントと言い、ローホリゾントの中には照明の他に種々のコネクターボックスが設置されます。
      この空間は周辺を硬い部位で囲まれた半トンネル状の形状をしているので低音域の音が溜まる傾向にあります。


      今回コネクターボックス周辺の空間にGWを充填することで低音溜まりの軽減を試みました。
      ローホリゾント周辺の様子を写真3〜5に示します。


    ローホリゾント吸音部(各設備設置前)とホリゾント
    写真-3 ローホリゾント吸音部(各設備設置前)とホリゾント


    ローホリゾント吸音部(各設備設置前)
    写真-4 ローホリゾント吸音部(各設備設置前)


    ローホリゾント吸音部(各設備設置後)
    写真-5 ローホリゾント吸音部(各設備設置後)


      写真3の左側にコネクターボックス周辺でメッシュで押えられた部分がありますが、ここにGWが約300mm充填されています。
      右側のホリゾント下端部に開口がありますが、ここは空調のリターンとなっています。
      この開口寸法も低音吸収を考慮して検討しました。


      竣工時、聴感上でもローホリゾント部分の低音溜まりは感じられず、テレビ朝日音声の方からも低音の抜けの良さを御確認頂きました。


  3. 第3スタジオ

      このスタジオはホリゾント壁が壁面の2面半程を占め、フラッターエコーが懸念されましたが、 セット組での使用が多いということと、音楽番組は殆どやらないということで、立面傾斜は採用しませんでした。


  4. 第4スタジオ

      このスタジオの用途は報道スタジオで、セットも常設だということでしたので、ホリゾント壁は設けていません。
      Pタイルは通常の薄いグレーではなく、フローリング調のものが使用されています。セットも巨大な鉄骨を大量に使った、 テレビでは希に見る巨大セットが組まれています。


  5. 第5スタジオ

      このスタジオは高さも床面積も小さく、収録される番組も小さいセットの番組を想定しています。
      また、スタジオ設備としてはバーチャルのシステムが配備されており、カーテンも通常のものの他にブルーバック用が吊られています。
      ここもホリゾント壁はありません。



3.  副調整室(第1、2副調整室)


  TVスタジオで収録される番組を制御するのが副調整室です。
  副調整室には各セクションごとに音声エリア、映像エリア、照明エリア、VTエリアなどあります。


  各エリアで必要な要件が異なります。


  音声エリアではスピーカからの再生音が癖なく聴取できるように、自然な吸音と拡散性の建築仕上げが、 照明エリアではスタジオ内の照明の映え方が詳しく分かるようにモニターTVがより近く、より鮮明に見える環境が要求されます。


  ここでは第1、2副調整室の音声エリアに施した音響上の工夫について述べます。


音声編集室(正面)
写真-7 音声編集室(正面)


音声編集室(側面)
写真-8 音声編集室(側面)


■ラックルーム引き戸の吸音スリット


  最近のテレビ局では副調整室内にラックルームを併設していますが、ラックルームと調整室との間仕切りはメンテナンスと視認性の要求からガラスの引き戸が多く採用されます。
  音声エリアの近くにガラス引き戸があるとガラスからの反射音の影響を受け、音声の編集環境を悪化させます。
  他局ではガラス引き戸の前に昇降カーテンを設置したり、ガラス引き戸を傾けたりして対策しています。
  テレビ朝日では諸条件からこれらの方策が取り難かったので、“ガラス引き戸の表面に吸音スリット”という方法を採用しました。


  この方法の採用に際し、どういった物をガラス表面に設置したらよいか、弊社の無響室にて実験を行いました。
  実験の概要図を図5に、分析方法を図6に示します。


実験システム概要図
図-5 実験システム概要図


減衰効果の確認方法
図-6 減衰効果の確認方法


  スピーカと試料と間にマイクロホンを設置し、M系列ノイズを発生させ、インパルス応答を測定します。
  反射音成分を切り出し、その区間のパワースペクトルを求めます。
  アクリル素面の場合に対し、試料を取り付けた場合の反射音の比を求め、各資料の比較検討を行いました。
  図7に結果の一例を示します。


反射音の減衰率
図-7 反射音の減衰率


ラックルームのガラス引き戸に取り付けられた吸音スリット
写真-6 ラックルームのガラス引き戸に取り付けられた吸音スリット


  岩綿吸音板とフェルトの吸音効果が確認されました。
  設計者、施工者と施工方法を協議し、アルミのアングルにフェルトを取り付ける方法が採用されました。
  写真6に設置された吸音スリットを示します。
  現場で施工された後に、音声エリアで音楽などを再生しましたが、聴感上反射音による影響は確認されませんでした。


4.  61〜65スタジオ


  BS・CS用のスタジオです。BS・CSでは大きなスタジオを使った番組はあまりなく、 小規模なスタジオでセットも常設で行われることが多いようです。
  建物のアトリウム側に位置し外部が見通せるようにレイアウトされています。
  また、副調整室とスタジオが同じフロアに隣り合って配置されており、大きなのぞき窓が設けられていて、 スタジオと副調整室とに一体感を持たせています。
  スタジオから副調整室にカメラを向けて、アナウンサー越しに副調整室の様子が映るようにも考慮されています。


5.  ポスプロエリア


  ポスプロとはポストプロダクションの略で収録された素材を編集する作業のことをいいます。
  ポスプロエリアでは、大小あわせて26室の編集室と4つのアナブースから構成されています。
  26室の編集室の中でも6Cと呼ばれている比較的小さな編集室20室については意匠上の理由から、 アナブース4室については有効スペース確保の理由から、壁面に十分な吸音層を確保できませんでした。
  そこで、天井の岩面吸音板をスリット工法(捨て貼りPBをスリット状)にすることにより吸音力を高めています。


6.  音声編集室


  • 概要

      音声編集室とは通常TV局、ポスプロ会社(ポスプロ作業を専門に行う会社)でいうところのMA室に当たります。
      編集作業というのは映像と音声を編集するわけですが、MAでは特に音声の編集に重きを置いています。
      この音声編集室では更に、5.1chサラウンドの編集を第1の目的に機器及び室のレイアウトがされています。


      現在放送されているTV番組の音声の殆どはモノラルかステレオですが、デジタル放送が本格化するに従い、 5.1chサラウンドの番組が増えつつあり、サラウンド編集室の装備が必要であったわけです。
      ポスプロ会社では本格的なサラウンド編集室を持つ所が多くなってきていますが、TV局社内にこういった編集室を設けている例は多くありません。


    音声編集室平面図
    図面-4 音声編集室平面図


    音声編集室断面図
    図面-5 音声編集室断面図


  • サラウンドスピーカの配置

      テレビ朝日音声の方から提示された諸条件をクリアし、且つどのようなスピーカ配置が適正か、 弊社の試聴にて比較試聴を行いました。
      試聴室は実際の音声編集室よりは小さいので、角度を同じにしてスケールを若干小さく設定しました。
      ただし、スピーカは実際に設置される物と同タイプとしましたので、スピーカは小さくなっていません。
      スピーカの音響中心の位置、角度に注意して設置しました。


      試聴に用いたスピーカはGENELECでタイプは以下の通りです。


    • L、R:1034B
    • C:1034BC
    • サラウンド:1037B

      検討事項は主に以下の3点です。


    1. Cスピーカのタイプの選択
    2. LCRスピーカの倒れ角度
    3. サラウンドスピーカの倒れ角度と開き角度


      各スピーカを特注のスピーカ台に乗せ、倒れ角度を任意に変えられるようにしました。
      試聴会の様子を写真9、10に示します。


    音声編集室スピーカ角度検討試聴会(LCRスピーカ)
    写真-9 音声編集室スピーカ角度検討試聴会(LCRスピーカ)


    音声編集室スピーカ角度検討試聴会(サラウンドスピーカ)
    写真-10 音声編集室スピーカ角度検討試聴会(サラウンドスピーカ)


      試聴の結果は以下のような結論となりました。


    1. Cスピーカは1034BC(横長タイプ)ではなく、LRと同じ1034Bとする。
    2. CスピーカをLRと同じとすることで、センターのディスプレーとCスピーカが干渉する位置となる。 スピーカ位置を重視し、LCRスピーカを同じ高さ、角度とする。
    3. サラウンドスピーカはLCRと同じ高さとし、ミキサーポイントとの距離はLCRより100mm程度長くする。 開き角度は120度とする。

      この結果を踏まえレイアウトをし、サラウンドスピーカは壁に半埋め込みとしました。


  • プロジェクター

      音声中心の編集室とはいえども映像モニターは必要です。この音声編集室ではTV番組の編集用にプラズマTVを、 映画などスクリーンで再生されることが想定される素材の編集にはプロジェクター投影を用いることとなりました。


      プラズマTVは台に載せ移動可能としましたが、プロジェクターは室内に固定しないと所定の映像が投影できませんので、 吸音天井内部に埋め込みました。
      スクリーンはサウンドスクリーン(穴あきの音響透過タイプ)とし、4:3で70inch(16:9の対応も可能)のサイズとなっています。


      レイアウト上、プロジェクター埋め込み位置がミキサーの真上になってしまうことから、 プロジェクターのファンノイズを消すために遮音ボックスを設け、その中にプロジェクターを埋め込んでいます。
      また、納まり上、遮音ボックスの前面からのメンテナンスしかできないのでプロジェクターの吊金物も回転できるものを作製し、 遮音ボックスの前をはずしてプロジェクターを回転させることでメンテナンスができるように工夫しました。


  • 意匠模型

      基本的な平断面が決定した後に、槙事務所さんで1/10の模型を作って頂きました。
      スピーカが壁埋め込みで、また、スピーカは傾いていますので、垂直な壁だけで構成されている通常の居室とは違い、 3次元的に複雑な形状となるからです。
      やはり模型の威力というものは大したもので、図面では現れてこない部分や、表現しきれない部分なども模型を確認すると比較的わかりやすく、 テレビ朝日さんへのプレゼンもさる事ながら、職方への指示もスムーズにすることができました。


    音声編集室模型
    写真-11 音声編集室模型


7.  プレゼンテーションルーム


  直接番組制作をする室ではありませんが、テレビ朝日新社屋の目玉のひとつです。
  主に各種講演やプレス発表等に使われると聞いています。この部屋に入ってまず目に付くのが正面の200inchスクリーンと側壁のリブ壁でしょう。


プレゼンテーションルーム平面図
図面-6 プレゼンテーションルーム平面図


プレゼンテーションルーム断面図
図面-7 プレゼンテーションルーム断面図


プレゼンテーションルーム(正面パネル)
写真-12 プレゼンテーションルーム(正面パネル)


■スクリーン


  正面のスクリーンですが、通常は壁の裏に隠れていますが、必要な場合はボタンひとつで5.7mW×2.6mH(横2分割)のパネルが自動で開閉し、 スクリーンが登場するシステムになっています。(袖の部分にメインのスピーカも埋め込まれています。)
  このスクリーンのシステムも弊社の施工です。
  当初はパネルが横開きの引き戸でした。


  打合せを進めていくうちに、部屋を広く使いたいとい、200inchのスクリーンにしたい、という要望があり、 原設計の仕様では納まらず、下収納の横2段の自動開閉システムを採用することとなり、現在の形に落ち着きました。
  パネルが自動で開閉するときは、「おおっ!」て感じです。


■リブ壁


  側壁のリブ壁ですが槙事務所の斬新なデザインで、このリブ壁の納まり検討だけに2、3ヶ月掛かりました。
  施工の難易度は今回弊社が施工した中でも1、2を争う難しさでした。


  というのも、現物を見た方はわかると思いますが、200本のリブがそれぞれ独立しており、意匠上、 3次元的にねじれた様なデザインとなっています。
  しかも一本のリブが5〜7mもあり途中で控えを取らざるをえない状況で、 一本一本のリブの出入りを地墨に出して確認しながらLGSで下地を作成して行きました。


リブ詳細図
図面-8 リブ詳細図


  リブの出来上がりもすばらしいですが、LGS下地の段階での美しさというのも結構、感動物でした。
  また、リブ面以外の部分が、床を除き木練りつけ材の反射面であるため、 リブとリブの間をアルミのパンチングにして背後空気層による吸音層をとり、音響障害が出ないように工夫してあります。


8.  その他


  ここまで御紹介してきました事柄以外にも、種々の御手伝いをさせて頂きました。 紙面の関係上内容は省かせて頂きます。


  • 副調整室音声エリアのモニタースピーカの試聴、選定
  • 副調整室音声エリアのモニター棚形状及び仕上仕様の試聴検討
  • 副調整室音声エリアのサラウンドスピーカの角度の試聴検討
  • プレゼンテーションルーム他諸室の残響時間検討
  • アトリウム内2Fミーティングコーナーの音響検討

■音場調整


  竣工後にも音響上重要な室に関しては実際の室で試聴、音場調整を行っています。


  • 音場調整(仕上層の吸音仕様、拡散仕様、ダンピングの調整)
      [ 第1、2副調整室音声エリア、アナブース1〜4、音声編集室 ]
  • 各副調整室のスピーカ位置及び角度等の調整
      [ 第4副調整室他5室 ]

  音場調整とはどういうことをするのかというと、(御存知の方もいらっしゃると思いますが、) 図面通りに施工すればそれでおしまいというわけではなく、竣工後、システムが組みあがった段階で実際にコンソールを通してスピーカから音を出してみて、 反射や吸音のレイアウトを今一度見直すという作業を行います。
  この作業というのが思いの他大変で、レコーディングスタジオなどでは夜通しの作業になるときもあります。 (今回は大丈夫でしたが・・・。)


  毎回音場調整をするたびに思うのですが、図面通りに出来上がれば音に関して一発でOKというようになればなぁと思います。 これは永遠の課題なのでしょうが・・・・。


9.  おわりに


  テレビ朝日新社屋は弊社にとって、一大プロジェクトでありました。
  施工者の立場と施主・設計の立場とで関ることが出来ましたことも貴重な体験でした。
  無事新社屋からの放送が始まったと聞くと一安心といったところです。


最後に、
  テレビ朝日新社屋建設局、技術局の皆様、
  特に音声の皆様、
  槇総合計画事務所の皆様、
  竹中工務店の皆様、
  音響システム関連会社の皆様、
他、御世話になった皆様に感謝致します。



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