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技術ニュース

京都シネマ


技術部  早川  篤


■こだわりのある映画館


  数年来続いているシネマコンプレックスブームも絶頂期となり、現在でも全国各地で多数計画され、 毎月どこかの土地で新しいシネマコンプレックスがオープンしています。
  そのような時勢に京都市に小さな「こだわりのある映画館」がオープンしました。


  今回の京都シネマ計画の施主は、シネマ開館に向け設立した(株)如月社です。
  私は、シネマ開館スタッフと打ち合わせを重ね、計画を進めていきましたが、他にも多数のブレインとなる方々、 そして、京都シネマ立ち上げを応援する千人以上の会員の応援と熱意で、2004年12月に無事オープンを迎えることができました。



シネマ1
シネマ1
シネマ2
シネマ2
シネマ3
シネマ3

■基本コンセプト


  私が参画した時は、過去数百スクリーンも手がけてきた経験豊富な(株)宮地総合計画事務所の宮地氏の基本設計が完成していました。
  既に映像や音響にも配慮したプランと室形状になっていましたが、私は、音響コンサルタントとして、 よりよい映画館づくりに頭を悩ます毎日が始まりました。


  設計段階の打ち合わせでは、映画館に対するこだわりを象徴するような、さまざまな意見・要望が飛び交いました。
  基本コンセプトとして
「THXにこだわらないが、それ以上のよりよい音空間を目指す」
「映画を観る人に製作者の意図が伝わる映画館」
「いろいろなジャンルの映画を良い環境で提供できる」
「ロビーやシネマ内のデザインはシンプルにしたい」等


  普段は、ハリウッド映画を好み、映画館に足を運んでいる私は、最近のシネマコンプレックスとは一味違ったニュアンスの施主の要望に答えるべく、 休みの日には、あちこちの映画館に出かけ、時間があれば、好みにとらわれずDVDをレンタルし、家で鑑賞するという日々を過ごしました。


■遮音計画と設備計画


  京都シネマは、京都市内の四条烏丸の交差点近くにある「COCON烏丸ビル」の3階に計画されていました。
  昭和13年に竣工した歴史の長いビルの全面リニューアルです。
  新築であれば、音に配慮しながら基本プランを検討できるのですが、今回は、私(皆様)が仕事をしている頭上に映画館があるようなものです。


  様々な難問が待ち構えていましたが、最も頭を悩ませたのが天井の高さでした。RC造なのですが、床スラブから天井スラブまで3430mm、 梁部分は2880mmしかありません。スクリーン寸法は縦横比で決まってしまうので、「1cmでも天井高さを上げたい」というくらい重要な問題でした。
  そこで、遮音天井として、梁下端は石膏ボードではなく、鉄板を加工して取り付け、その他の部分は、 空気層を小さくする反面、2層の石膏ボードの上からセンチュリーボードを貼り付けることにしました。


着工前の様子
着工前の様子


  ところで、シネマの室内騒音目標値ですが、THXはNC-30以下を推奨しています。
  他の学会資料では、NC-25とされている場合もあります。
  常にBGMや効果音が流れているフィルムの場合は、空調騒音はそれほど問題になりませんが、 中には「無音」も効果音として取り入れられているフィルムもあります。
  余談ですが、仕事柄、途中で「無音」になる映画を観ると、「騒音が飛び込んでこないか??」と妙に緊張を覚えた経験があります。
  今回の京都シネマは、「ジャンルを選ばず、よい映画を紹介するシネマ」という観点から、少しグレードの高いNC-25を目標値に設定しました。


  遮音仕様として「完全浮き構造」を採用しましたが、当時は、上下階にどのような職種のテナントが入るのか、 明確になっておらず、遮音的に問題になりそうな点を整理し、音響性能の確保、天井高さの確保、コストバランスにも考慮して、遮音仕様を検討しました。
  遮音天井には、石膏ボード2重貼りにセンチュリーボートを加え、梁部分は、鉄板で遮音層を形成し、天井高さを確保しました。 また、スピーカ近辺の壁は、床の振動による遮音性能の劣化を考慮し、壁から独立支持させた浮き遮音壁を形成しました。


断面図
断面図


  ところで、遮音設計に必要な映画上映時の音圧レベルは、映画館やフィルムによって、違いがあります。
  通常、オープン前にドルビーデジタルのマニュアルが指定するスピーカ再生時{代表点:85dB(C)}という音量調整が行われています。
  この数値は、試験音に対する音圧レベルであり、プロセッサーのボリュームを調整時と同じ目盛りにして実際のフィルムを上映すると、 呆然とするくらいの大音量で再生される場合もあります。
  映画を見に行くとわかりますが、控えめの音量のシネマもあれば、普段から大音量になれているはずの私でもビックリするくらい大きな音のシネマもあります。


  今回は、資料や実測値をもとにヒアリングをおこない、施主の要望する再生音量と立地条件からなる限界量を比較して、 発生する音圧レベルを設定しました。
  予測できない部分は、前もって事情を施主に説明し、施工途中の音響測定の実施や、オープン前にフィルムを上映し、 上下階への音の伝搬量を確認するなど、途中修正できるようなプランをたてました。


遮音仕様
遮音仕様


  次は設備計画です。やはり、天井高さ確保の問題で、大勢の人が頭を悩ませました。
  通常、空調機やダクトは天井裏に吊り下げますが、映写範囲が狭くなるため、梁下にダクトをくぐらせることができません。
  設計の宮地氏、設備設計者と打ち合わせを重ね、最終的にピーエス株式会社のラジエター式冷暖房システムを壁面に設置する方法と映写機室に空調機を設置し、 映写窓の両側の壁から吹き出す2種類の方法で温度コントロールすることになりました。


  今回採用されたラジエター式冷暖房システムは、フィン上になったスチールプレートの中に冷温水を流し室内の温度を調整するという優れものです。
  水流音も全くせず、静かな環境には非常に適しています。
  この製品は、編集室やホールに導入された実績もありますが、シネマへの導入は今回が初めてでした。


  ホールとは違い、「部屋全体が吸音され、かつ音源が左右前後にあるシネマの壁面にスチールプレートが並ぶとどうなるか?」 「共鳴音が残るのでは?」と思い、ピーエス株式会社の協力を得て、ショールームに弊社のノイズビジョン等の測定器を持ち込み、 共鳴画像やインパルス応答波形を測定し、対策方法を検討することにしました。


  結果、フィンの中間位置をプレートで締め付けると共鳴音が軽減することがわかりました。
  ゼロになったわけではありませんが、客席部分で影響がなければ問題なしと考え、最終調整はオープン前、聴感確認をしながら行うことにしました。


測定風景
測定風景


ノイズビジョンによる共鳴画像
2004年6月11日実施
PS工業 冷暖房システムの共鳴音探査

【実験条件】
音源:ピンクノイズ(2kHz 1/1Oct)
音源位置:0.3m(リブとの垂直距離)
測定位置:冷暖房システム正面から1m
解析区間:ノイズ信号停止時から約0.5s程度(残響の余韻部分)
解析周波数:2900Hz狭帯域
ダイナミックレンジ:10dB
ノイズビジョンによる共鳴画像


インパルス応答波形
インパルス応答波形



ラジエターパネルと共振防止締め付けプレート
ラジエターパネルと共振防止締め付けプレート


シネマ内に取り付けられたラジエターパネル
シネマ内に取り付けられたラジエターパネル


■室内音場と映像・音響システム

  シネマコンプレックスがブームになる以前の映画館は、劇場に近い設計となっています。
  壁や天井を傾斜形状にしたり、やや響きの長い設計となっています。
  逆に最近のシネマは、ほとんどがシューボックスで、壁や天井の仕上げ材としてグラスウールの吸音板が用いられています。


  これらの違いは、音響再生方式の変化が関わっていると考えます。大音量を再生可能なスピーカの開発や、 サラウンドスピーカの多様化、編集方法の変化などから、シネマの反射の影響を少なくすることで、素材そのものの音を聴衆にダイレクトに伝えるように部屋全体が吸音仕上げとなっています。 (ただし、残響が長くても、良い音空間のシネマは沢山あります。)


  また、通常のシネマコンプレックスでは、床面積確保、席数確保、コストの問題もあり、 遮音層に直接吸音材を貼り付ける施工方法が主流となっています。
  そのため、高音域のみが吸音され、低音域が長く残ってしまう傾向にあります。
  (迫力を出す為に、低音域を長くするというのも、否定はできません。)


  京都シネマは、天井高さや室容積から、音空間として、決して良い条件ではありませんでしたが、 設計当初から凹凸壁となっていたため、基本的にグラスウール化粧吸音板を用い、その背後空気層を低音域の残響コントロールに使うように考えました。
  また、表面には、宮地氏の意向により縦方向に木リブを取り付けることになりました。


  天井は、高さ確保の狙いもあって、遮音層にグラスウール化粧吸音板を直接貼り付けることになりましたが、 梁の凹凸による音の反射や同一素材の吸音率の偏りを防ぐ為に、天井に反射板を帯状に取り付けました。


  一般に、グラスウール化粧吸音板は、仕上げの保護も考慮して、密度が64kg/m3や32kg/m3等のボード状の材料が使われています。
  グラスウールは、もともと吸音率が大きい材料ですが、表面材のガラスクロスの影響もあって、音の反射を100%避けることは出来ません。
  また、吸音材であっても平行面であれば特定の周波数帯域でフラッターエコーが生じ、シネマのように同じ材料が占める面積が大きくなると、 いっそうエコーが顕著にあらわれてきます。
  その点、今回は、側壁が凹凸しているため、フラッターエコーのような音響障害を軽減させるには有利な条件でした。


  映写機とスピーカシステムについては、施主と(株)ジーベックスが選定した機材種類からどのようなレイアウト・設置方法にすればいいか、打ち合わせを重ねました。
  一時期、「3wayスピーカのトライアンプ駆動」という話も出ましたが、実物のスピーカをみると私の背丈以上の高さがあり、 今回のスクリーンサイズに適さないと判断され、最終的には2wayのスピーカを選定することになりました。


  建築的には、スピーカ廻りに、当初から「バッフル板を設ける」計画となっていました。
  施主の提示する「THXにこだわらないが、それ以上のよりよい音空間を目指す」というコンセプトにもとづき、 弊社工事部に所属し、過去、いくつもの試写室や編集室を手がけてきた酒井をまじえて、京都シネマにふさわしい仕様を検討しました。


  世間では、付加価値とされているバッフル板がとりつけられているシネマも増えてきましたが、従来通り、 スクリーンフレームの上にスピーカを直置きしているシネマも沢山あります。
  過去、某シネマの音場改善計画で、鉄骨製スピーカ台の上にスピーカを設置し、スクリーン裏側に吸音トラップを取り付けて、 結果的に音響データ・聴感ともによい効果を得た経験もあるのですが、「スピーカがもつ本来の性能を発揮できる条件とは何か?」という基本的なことに焦点を絞り、 スピーカの設置方法とバッフル板にこだわることにしました。


  • スピーカは剛性の高い部材の上に置く。
  • バッフルの下地材が共鳴しないように工夫する。
  • バッフル板の板振動を押さえるために、レンガブロックにてダンピングする。
  • スピーカとスクリーンの距離を近づける。

  ところで、京都シネマは、シネマ1:104席、シネマ2:89席、シネマ3:61席の3スクリーンですが、 施主の「小さなスクリーンであっても、手を抜かない」というこだわりから、全て同じスクリーンサイズ、同じグレード機材を選定しました。 それにあわせて、基本的な音響仕様からバッフル板の構成まで、全て同じグレードとしました。
  バッフル板の裏側に貼り付けた「こだわりのレンガ」は、一番小さなシネマ3でも実際に施工されています。


バッフル板図面
バッフル板図面


スピーカ取り付け後のバッフル板
スピーカ取り付け後のバッフル板
こだわりのレンガ
こだわりのレンガ

機材リスト
名 称 メーカー 型 番 数量
シネマプロセッサー Dolby CP650 1台
メインスピーカ JBL 4622 3台
サブウーファー JBL 4642A 1台
サラウンドスピーカ JBL Control29AV 6台
バックサラウンドスピーカ JBL Control29AV 4台
サラウンドプロセッサー YAMAHA DME24N 1台
パワーアンプ AMCRON CE2000TX 6台

■デザイン


  商業施設である以上、お客様に快適に過ごしてもらえるように配慮しなければなりません。
  音響専門の私には難しい話なので、専門家にお任せ状態となりました。

  デザインについては、施主と宮地氏が打ち合わせを重ね、当初の「映画を見る前に違った先入観を与えないように、 ロビーやシネマのデザインはシンプルにしたい」という要望から、全体的に落ち着いたものになりました。
  「絶妙な味の料理の前に、刺激の強い料理を食べるとおいしさがわからなくなるのと同じようなものだ」と私は妙に納得し、 ここでも映画に対するこだわりを印象付けられました。
  導線とシネマ内部は、歴史のある京都らしさを表現するために「日本の色」からテーマとするカラーを選び、 主張しすぎない程度に個性を持つように、入り口扉には、最先端技術によるガラスクロス素地にデジタルプリント加工をした吸音パネルを取り付けて導線部分を特徴づけ、 一旦シネマにはいると、黒を貴重にした空間の中に、同色の椅子が引き立つようなデザインとなりました。


  それから、冒頭の京都シネマのロゴは、施主直筆のものです。


シネマ1入り口扉
シネマ1入り口扉
シネマ2入り口扉
シネマ2入り口扉
シネマ3入り口扉
シネマ3入り口扉

■施工途中


  施工については、日新建工株式会社のもと、弊社が請け負うことになりました。
  途中いろいろ問題が生じましたが、現場スタッフから職人一人一人の努力によって、オープンにむけて日々躍進していきました。


■音響測定


  工事途中と竣工時に遮音性能・残響時間・インパルス応答波形・RASTI・ビリツキ試験など、 音楽ホールなどで実施されている測定を実施し、室の音場の確認をおこないました。


  残響時間は、シネマ1の予測値:0.19秒(500Hz/空室時)に対し、結果0.17秒(500Hz/空室時)となりました。
  やや63Hzの残響時間が長くなっていますが、全体的に滑らかなカーブを描いた周波数特性となっています。


残響時間測定結果(シネマ1)
残響時間測定結果(シネマ1)


  遮音性能については、中間測定時点で、設計目標値を満足していました。
  しかし、上下階のテナント工事が進むにつれ、乾式壁や家具による音の再放射によって性能劣化する恐れもあったのですが、 検収時も目標値を満足する結果となりました。


遮音測定結果
<シネマ1-2Fテナント(床)>
遮音測定結果
<シネマ1-2Fテナント(床)>
遮音測定結果
<シネマ1-4Fテナント(天井)>
遮音測定結果
<シネマ1-4Fテナント(天井)>

  空調騒音については、前述の通り、最後列客席近傍に吹き出し口があります。
  通常NC値は、部屋中央における音圧レベルで評価するケースがほとんどですが、座席位置によって音環境に差が生じることは、本来望ましいことではありません。
  「客席中央だけでなく、吹き出し近辺においても目標値を満足する」ように空調設備施工業者の担当者にお願いしたところ、 「意地でもなおしてやる!!」という彼のコメントの通り、風量調整や対策を施した結果、最後には、吹き出し口近くの席においてもNC-20〜25の範囲に納まりました。


客席後方の吹き出し
客席後方の吹き出し


空調騒音測定結果
シネマ 測定位置 目標値 結 果
1 シネマ1:部屋中央
ダクト吹き出し付近
NC-25 NC-20
NC-25
停止時:NC-15以下
2 シネマ2:部屋中央
ダクト吹き出し付近
NC-25 NC-20
NC-20
停止時:NC-15以下
3 シネマ3:部屋中央
ダクト吹き出し付近
NC-25 NC-20
NC-25
停止時:NC-15〜20

  インパルス応答波形やRASTIは、センターのスクリーンスピーカからM系列ノイズを発生させ、客席部分で測定をおこないました。
  スクリーンと後壁、梁と梁の間などに生じる反射音が波形上でも確認できましたが、後日、試写したところ聴感上、全く問題はありませんでした。
  参考としてRASTI(簡易明瞭度)も測定しましたが、その結果は、シネマ1、2とも0.98(excellent)という結果になりました。


■音響調整・試写


  音響測定が終わった後にも、「映画を観る人に製作者の意図が伝わる映画館」という大きな課題が残っていました。
  そこで、最終の電気音響の調整は、ヒビノ株式会社  谷口氏にお願いし、映画監督および映画製作の音響技術者立会いのもと行われました。
  そして、ようやく「映画を観る人に製作者の意図が伝わる映画館」シネマが完成しました。
  プロユースの試写室ならともかく、商業施設のシネマで、映画監督や音響技術者立会いのもと、音調整を行うことは非常にまれなことです。


  オープン前は、ビル全体に緊張感が漂っていました。
  遮音性能については、音響測定で設計目標値を満足していたものの、実音による上下階の遮音性能の確認作業がありました。
  そこで、下階のテナントスタッフに立会いをお願いし、予告編フィルムを流し、 シネマオープン後に上映する音量と上下階への音の伝搬量を聴感で確認しました。
  結果、営業に支障がないとコメントをいただき、安心しました。


  数日後、オープン時に上映されるフィルムの試写が行われました。
  施主と映写技師スタッフが実際上映される予定のフィルムをまわしながら、音量や時間など、細かくチェックされていました。
  スピーカが新しいため、音に少々硬さが残っていましたが、明瞭性は優れており、ステレオ感も十分ありました。
  映画館では、本編上映前に製作会社のコマーシャルが流れますが、後日、プライベートで映画を見たところ、 A社の「サーチライトの動きに合わせて流れるファンファーレ」もステレオ感が十分、また、「ライオンが顔を左右にふる」B社の場合、 遠吠えが顔に合わせて左右に動くところまで、明瞭にわかりました。
  しかし、試写の時に「エンドロールで音楽が流れますから、聴いてみてください。」と映写技師の方に言われたのですが、 「DVDじゃないから、「早送り」できないよなあ。」と当たり前のことを感じてしまった私は、まだまだ未熟者です。


■オープンを迎えて


  設計・施工途中にさまざまな人と出会い、意見を交換し、夢を語ることができました。これは、「よいものをつくるために、 プロ集団が同じテーブルにすわり、平等に意見を交わせるようなプロジョエクトにしたい」という施主の希望が実現したものだと感じています。


  京都シネマでは、邦画上映の際、そのフィルムの監督や関係者が舞台挨拶に駆つけ、音楽製作者がシネマ内で生演奏を行うなど、 楽しい企画が盛り込まれています。
  普段から、スタジオレコーディング系の音に馴染んでいる私は、「音の良い映画館」の最終地点がどこにあるのか、まだ明確ではありません。
  商業施設であり、顧客対象も老人から子供までかなり幅が広く、再生方式、スピーカの数、ジャンル、 また、製作者、編集者、出演者からエキストラまで、多種多様な要素が含まれ、可能性・組み合わせが無限にある映画に対して、 「良い映画館とは」と一言で片付けることは、難しく思えてなりません。


  しかしながら、今回の計画で確実にいえることは、「製作者と聴視者の距離が非常に近い映画館」ができたことです。 もし同じ映画を違う映画館で見る機会があれば、是非試してみてください。音のつや、ダイナミックさ、場面による残響感の違い、 セリフの声のかすれ具合から雑踏の音なども含めて、微妙なニュアンスまでもが伝わってきます。
  「京都シネマ」の言葉を借りることになりますが、「映画館で映画観ませんか?」


  最後になりますが、設計者の株式会社 宮地総合計画事務所 宮地氏、施工 日新建工株式会社の担当者様、 新日本空調株式会社の担当者様、映写・音響システムの株式会社ジーベックス、ヒビノ株式会社の担当者様、 音響試験にご協力いただいたピーエス工業株式会社の担当者様、その他の関係者、協力業者、スタッフの方々に厚く御礼申し上げます。



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